2020年12月1日付けで、大塚家具の大塚久美子社長が辞任されました。
久美子社長といえば、今から約6年前、実父で大塚家具創業者の大塚勝久氏との経営方針の対立から、社長の座を巡るお家騒動がまだ記憶に新しいですね。
この度、大塚久美子社長がなぜ辞任に追い込まれてしまったのか、その理由を現在報じられている情報を元に記事にまとめてみました。
大塚久美子さんの経歴~お家騒動を振り返る
大塚久美子氏は1968年生まれ。埼玉県春日部市出身で、現在未婚です。
1991年に一橋大学経済学部を卒業、富士銀行(現在のみずほ銀行)に総合職で入社されました。
1994年、家業の大塚家具が事業拡大を目指すも人手不足という理由で、久美子氏が呼び寄せられ入社、1996年には取締役就任、2004年に退社するまで務められます。
その後1年間の休養をはさみ、2005年~2008年は自身でコンサル会社を設立したり、大塚家具の資産管理会社「株式会社ききょう企画」の代表取締役も務めました。
生まれ持ったステータスは否めないけど、THEキャリアウーマンって感じね。素敵!
もう大塚家具には戻るつもりはなかったという久美子氏ですが、2009年に大塚家具代表取締社長として復帰される事が決定されます。
会社として法を犯してしまった事に、社長の勝久氏は大変ショックを受け、経営意欲を失ってしまいます。2008年には頼りにしていた長男勝之(久美子氏の弟)が去ってしまい、大塚家具はピンチの状況に陥りました。
なるほど、そこで白羽の矢がたったのが久美子氏というわけか。
2004年退社時には取締役の一人だったのに、2009年にいきなり代表取締役社長で迎えられた背景には、色々あったんだね。
勿論、大塚家具の業績悪化を立て直すというミッションもありました。
年度 | 2007年 | 2008年 | 2009年 |
売上高 | 727億円 | 668億円 | 579億円 |
この表を見てもわかるように、大塚家具の売上高は年々悪化の一途を辿っていました。
2008年9月に起こったリーマンショックの影響で新築住宅の着工数も減少、新築購入を機に高級家具をトータルで提案してゆくという大塚家具のビジネスモデルには大打撃だったのです。
厳しい中、社長に就任した久美子氏は大塚家具を再生させよう奮闘し、2011年には540億円の売上でも利益を出せるとこまで持ってゆきました。
しかし、2014年7月に大塚久美子氏は取締役会で社長を解任されてしまいます。
ちょっと待って。色々ありすぎてついていかれへーん。業績良くなったのなら久美子氏が社長でいいんとちゃうん?
この解任は会長に退いていた父勝久氏が久美子氏の経営方針への不満から社長を降板させ、自ら会長兼社長に戻る、といったものでした。
一度は久美子氏に託すと決めたものの、大衆に迎合するような大幅な路線変更は自らが一から作り上げてきた高級路線の経営を否定された気になったからです。
その頃には長男勝之氏も大塚家具に戻ってきており、母千代子氏からも「長男の勝之氏が社長になるべき」という発言がされるなど、日曜劇場さながらのお家騒動が勃発したのです。
しかし、取締役会で4対3で久美子氏側が勝利すると、2015年1月末に再び久美子氏が社長に復帰、勝久氏が会長専任の体制に戻ります。
そしていよいよ最終決戦となったのが、2015年3月27日に行われた株主総会です。
今後の取締役に残るのは父勝久氏側か久美子氏側かを決める委任状争奪戦がとり行われた結果、61%の支持をうけ、久美子氏の勝利で幕を閉じました。
株主総会の会場前には「いったい、どうなってしまうんでしょう!?」という沢山のリポーターが色めきだち、一定期間この話題はワイドショーでかなり取り上げられました。
一連の戦いに敗れた父勝久氏は会長職を退き、創業者でありながら、事実上大塚家具を追われることになりました。
その後長男・勝之と共に匠大塚株式会社を立ち上げ、家具小売業界に復帰を果たされました。
大塚久美子社長よるブランド路線変更
2009年に社長に就任した久美子氏が手掛けたのが大幅なブランド路線変更です。
大塚家具は会員制で、客が入店すると1人の店員が商品の見定めに一緒についてまわるというシステムをとってきました。結婚のまとめ買い客などにより、業績を伸ばしてきたのです。
品質の良い物を買うにはある程度の出費を惜しまない、といった比較的富裕層がターゲットですね。
店員がぴったりとくっついてくるなんて、ちょっとプレッシャーかも。私だったら、逆にほっといてほしいわ
そうなんです、久美子氏が取り組んだのはもっと敷居の低い、誰でも気軽に入れるようなお店。過度な接客もなくしてゆきました。
まさに当時、勢いづいてきたIKEYAやニトリといった低価格路線ですね。
このコンセプトは一定の新規客の心をつかみ、大塚家具は赤字続きからようやく黒字に回復します。
でも一方、路線変更が面白くない父勝久氏とのお家騒動が2014年に勃発。
勝久氏は旧ブランドイメージに戻そうと、久美子氏が立ち上げたショッピングサイトやセレクトショップをすべて閉鎖させ、せっかく獲得した新顧客の流れも止めてしまいます。
そしてその模様を連日マスコミが取り上げる事により、大塚家具=父娘のバトルというよろしくないイメージが広まり、結果的にブランドに傷が付いてしましました。
従来の顧客層にも影響を及ぼした事は容易に想像できるでしょう。
お祝い事の婚礼家具を選ぶのはちょっと厳しいかも・・
騒動に決着のついた2015年には会員制を撤廃。
お騒がせをしたお詫びとして大幅な値下げセールを開催したり、株主配当をそれまでの40円から倍の80円にするなど、父勝久氏時代には考えられなかったような新しい試みを実施しましたが、経営のほうは年々赤字が続き、結果的に潤沢にあった資産を取り崩してしまうことになります。
ついに自主再建が難しくなった大塚家具は、2019年家電量販店業界トップであるヤマダ電機の傘下に入る、つまり買収されてしまいました。
「チャンスを与えたい」というヤマダ電機社長の三嶋恒夫氏の温情により、久美子氏の社長解任は免れましたが、経営手腕を疑問視する厳しい意見もありました。
買収後、ヤマダ電機の店舗内では家電と高級家具をトータルコーディネイトするといった、新しい展示コーナーを開設し、その効果もあってか大塚家具の赤字幅は改善されました。
そして買収から1年後、経営再建に道筋がついたとして久美子社長は自ら辞任する事を決めました。
今後は三嶋恒夫氏がヤマダ電機と兼務で社長を務められるようです。
大塚久美子さん、ツイッターで人気!今後はYouTubeにも挑戦?
大塚久美子さんはツイッターで情報発信をしており、ご自身の家具愛がひしひしと伝わってくると好評なようです。
ドラマ「半沢直樹」で使われているソファは、ドイツのラグジュアリーブランド・ロルフベンツの不滅のロングセラー「6500」。ドイツの大御所デザイナー・マティアスホフマンが若かりし頃にデザインした傑作です。https://t.co/QPsINzI912 pic.twitter.com/4UU1tc2ElP
— 大塚久美子 (@Q3KO) July 20, 2020
おっと、あの超人気ドラマ「半沢直樹」のインテリアは大塚家具も協力してたのですね。
高級感たっぷりだから、半沢のイメージにぴったり(^^♪
そうかと思えばこんなツイートも
こちらこそありがとうございました!YouTubeは初心者なので、時間はかかるかもしれませんが、チャレンジしたいと思います! https://t.co/AJptqeblFt
— 大塚久美子 (@Q3KO) December 1, 2020
なぬ~!!YouTubeにも今後デビューされる予定なのですね(^-^;
今後は自由な立場から大塚家具を側面サポートするとおっしゃっているので、インテリア好きの方には刺さるチャンネルになりそうです。なんか見たいかも~!
久美子さんの知名度は抜群ですし、聡明で気品あふれる美しい方ですので、益々のご活躍に期待したいですね!
大塚家具の大塚久美子社長が辞任した理由とは~経歴やお家騒動も解説【まとめ】
大塚家具の業績悪化をくい止める事は厳しかったようですが、それは大塚久美子社長一人の責任ではないと思います。
今、新婚でマンションに入る場合など、既に家具が備え付けという場合も多いですし、そもそも「高くても一生ものの立派な家具が欲しい!」というニーズはどれほどあるのでしょうか?
久美子社長が低価格路線に変更することなく、従来の高級路線を続けていたとしても、時代の流れ的に大塚家具は厳しかったのではないかと推測できます。
大塚家具は元々久美子さんの祖父で桐箪笥職人だった大塚千代三さんの箪笥を専門に扱うお店が発祥だといわれています。
大塚家具が持つ本物の魅力が国内かつ海外にも再認識され、大塚ブランドが回復されると良いですね!
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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